プロデュース日記|noName -cafe for teens- / n cafe feat. Ina Bagel

「プロデュース日記」シリーズでは、noName Managementが手掛けるブランド・プロジェクト・作品とプロデュース・マネジメント過程におけるnoNameのスタンス・プロデューサーの想いをお届けいたします。

プロデュースに正解はありません。

noNameのブランド観やプロデュース・マネジメントするうえでの向き合い方・「ナナメの関係性におけるプロデュース」をお感じいただければ幸いでございます。

新しい場所の契約手続きをして、ナナメカフェのティーンたちに会う日。

朝は約束していたお菓子を受け取りにいって、ラッピングをして、お手紙を書いた。

町内会長さんにお会いすることになっている。サインを済ませたら、町内会長さんは、ティーンたちに会いに来てくださることになっている。

私はいま、困っている。冷静でいられるのだろうか。
移転がきまるまでのここ何ヶ月か、「大丈夫だ」という確信と、心配でたまらない気持ちとがいったり来たりして、ティーンたちに会えば胸が締め付けられ、話を聴いてくださるすべての方に心救われてきた。

あたたかく迎え入れられた公会堂のなかを思い出している。

やっと、ティーンたちに言える。「10月からも来てね」って。
そんな日に思い出す、ふたつのカフェのはじまりと、ずっと支えてくれたもうひとりの「カフェの最強のバディ」の話。

目次

ちいさく、はじめよう

私は、プロデュースするにおいて極力「ちいさくはじめる」ことにしている。

すぐに引き返せるだろう、という弱気のせい、とも言えなくはないが、どちらかといえば「腰が重ければはじめられないから」というほうが理由としては大きい。

n cafeの前身、CAFE MUSASHIに至っては「どうしようかな、内見……」という店長をよそに、「もう申し込んだけど」と内見の申し込みを勝手に私がしてしまった。「どうするんだよ!」とツッコまれながら、結果的にこれだけの期間営業しているのだから、びっくりである。

ナナメカフェ(noName -cafe for teens-)についても、なにか名前がいるだろう、と言われたので、以前からあたためていた「noName」をここぞとばかりに出したら、ポカンとされたのを思い出す。それを会社名にし、ドメインにし、noname~~という字面のせいで「ノーネームさんですか?」とか「スパム扱いになっていました」とか言われるのだから、過去3桁以上の数はしてきたネーミングのなかで、ある意味最高に後悔している。大好きな名前だけれど。

そのくらい、ちいさくはじめたのがふたつのカフェだ。これらふたつとも、私の生きがいになってしまったのだ。
カフェの成り立ちや想いや細かなところについては、長くなってしまうので、気が向いたときに書いてみたいと思う。

n cafeでたべる、米粉ベーグル

さて、n cafeでは米粉ベーグルをお出しする日がある。

スープセットのスープにあわせるかたちで、ごはんの日と米粉ベーグルの日があって、ごはんは自分たちで炊くけれど、米粉ベーグルは雄一さん(Ina Bagel / Taenal)にお願いしている。

雄一さんのベーグルをカフェの前日、お店で受け取る。n cafeのためにわざわざつくってもらえる、プレーンベーグルだ。その特別感は、ちょっと自慢である。

スープと米粉ベーグルと、ちいさな箸休め。
それだけのシンプルな構成なのに、誰もがゆっくりゆっくり、口にはこんでいく。

米粉ベーグルはしっかり噛まなければならないし、かなりボリュームもあるから、とくにゆっくりになる。

「おいしい……」

と、ベーグルをちぎりながら、あるいは食べたあとにゆっくりお皿を見下ろしながら、呼吸とともに言葉がこぼれていく。

長期休暇やカフェの店休日の関係でちょっとベーグルの日がスキップされると、常連さんから

「あれぇ、ベーグルの日今度いつー?」

と言われる。暴動が起きないうちに、発注しないと。

地域のことを、ちいさく伝える

そんな雄一さんのお菓子を、町内会長さんたちに召し上がっていただきたい――

関係をこれから築こうとしている、契約の相手方である、というフォーマルな側面だけをみれば、チャレンジングなことである。無難な手土産はたくさん思いつく。私はその「無難さ」はあまり好きではなくて、noNameには必要がない。パートナーシップを積みかさねて、手をつないでいこうとするこのタイミングだからこそ、地域で活動する私たちだからこそ、地域のものとも手を結んでほしい、と思うものである。

お心を傾けてくださったこと、これからお世話になること、ありがとうございますと、よろしくお願いいたします。いろいろな気持ちをこめて、それでもちいさく、ささやかに。ほんとうに、おいしいと思うもの、あなたに届けたいと思うものを。

雄一さんにお願いしたら、快く引き受けてくれた。このために、特別に焼いてまで、用意してくれた。

「移転祝いだよ。行ってきて!……あ、おおばちゃんのおやつも、入ってるから」

といって。

おおばちゃんのおやつです

なにイケメンなことしてくれてんすか。帰り道視界がわるくて、たいへんだったじゃん。

荷物を積んで、でかけよう

ごはんの炊ける音がした。ティーンたちの、おむすびのごはんだ。
現場で、おむすびを用意する。さながらおむすびおばさんである。

ティーンたちに尋ねたら、「ツナマヨはいらない」とリストラされてしまった。わかめごはんも、給食で出がちだから、積極的ではないらしい。

そのかわりに、なにげなく作って取り合いになったとろろ昆布のチューバッカ風おむすびとか、塩昆布とか、おかかなんかがいいらしい。塩むすびもわすれずに。

共同代表で動いているnoNameは、契約書に押印することがあっても、各々捺すチャンスが半分になってしまうせいもあり、まだ捺しなれない。デジタルの契約書が多いから、最初は印鑑をつくらなかったほどだ。

完全にオフラインで、アナログな契約。
じょうずに捺せるだろうか。
ティーンたちの前で、きょうもかわらずおむすびおばさんができるだろうか。
彼らの前で、きょうもナナメでいられるのだろうか。

ふたつのカフェと私たちにとってのバディに背中を押されながら、荷物を積んで出かけよう。

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